ピッチデザインとは、ピッチャーが現在持つ球種をデータとビデオを活用して改善したり、全く新しい球種をゼロから作り上げたりするためのプロセスを指します。このプロセスにおいて重要なのは、技術を使って球の特性を客観的に測定し、カメラなどから得られる視覚的な情報とピッチャー自身の「感覚」を統合することです。こうしたアプローチにより、ピッチャーの球種をデータに基づいて分析し、各選手に適した改善策を加えることで、パフォーマンスの向上を目指すことができます。
ピッチデザインの目的は、個々の球種だけでなく、それらの組み合わせや相互作用をもとに、最適な球種構成を作り上げることにあります。新しい概念のように思われがちですが、ピッチデザイン自体は昔から行われてきたもので、コーチや選手が球種の判断や調整を行うプロセスにすぎません。しかし、近年の技術進歩により、客観的な測定が可能になり、選手にリアルタイムで正確なフィードバックを提供できるようになった点が大きな変化です。この情報を基に、変更の効果を迅速に評価し、推測ではなくデータに基づいた判断が可能になります。
ボール追跡技術やカメラ技術を活用することで、ピッチャーの動作と感覚を具体的なデータとして把握し、学習のスピードを高めることができます。こうして、選手に適したトレーニング方法や視覚化ツールを提供することで、ゲームにおけるパフォーマンス向上を目指します。
またピッチデザインにおいては高速カメラも重要な役割を果たします。例えば、現在では多くのMLB球団、NPB球団などがピッチデザインで高速度カメラ(ハイスピードカメラ)を使用し、ピッチのリリース時の手首や指の動きを詳細に観察することで、感覚と実際の動作の違いを速やかに理解し、より効果的な調整を行っています。
ピッチデザインの第一歩は、選手の現状を把握することから始まります。具体的には、ブルペンでの基礎的な投球セッションを行い、各球種について少なくとも3球の投球を記録します。これにより、速度や回転、動きが安定するかを確認し、そのデータを基に選手の開発計画を策定します。このコースを通じて、ピッチデザインの目標を明確にし、ゲームでのパフォーマンス向上を実現するための実践的な手法を習得します。
ピッチデザインは一度で完成するものではなく、試行錯誤の繰り返しです。最終的には、コーチがデータを元に選手にフィードバックを行い、意図的な練習プランを立てて進めることが成功への鍵となります。